債権法改正と賃料延滞

不動産を人に貸していて、賃貸料(賃料)が期限までに支払われなかった場合、延滞金(遅延損害金)の利率がどうなるか契約書で定めていますか?

最近似たような相談を受けましたので、それについて書いておきます。

仮に契約書に何も定めていないという場合で、2020年3月31日までに延滞が発生した場合、旧民法が適用されるので、
あなたが事業者であれば、最大年6%の延滞金を請求することができます(旧商法518条)。
あなたが事業者ではない、具体的には旧商法518条の「商人」にあたらないという場合、最大年5%まで請求できます。

契約書に何も定めていない場合であって、2020年4月1日以降に延滞金が発生した場合は、新民法が適用されますので、
今のところ最大年3%となります。今のところ、と書いたのは、この法律で定められた利率(法定利率と言います)は、3年ごとに法務省令で変動することになったからです。

たったこれだけ?と思うかもしれません。それは、契約書で延滞金の割合を定めていないからです。

では契約書で定めれば上限がないのか、というとそうではありません。
消費者契約法9条2項で、個人に貸す場合は14.6%と上限が定められています。ですので、個人向けの賃貸物件を営む場合は、延滞金の利率は14.6%までの範囲であれば自由に定めることができます。

なお、この消費者契約法は個人向けの場合に適用されるので、事業者向けの物件である場合には適用されません。とはいえ、あまりにも高い利率にすると、裁判になったときにその条項自体が無効になり、場合によっては最初にお話しした年3%の法定利率しか認められなくなる可能性もなくはありません。認められる範囲は14.6%を若干上回る程度と考えるべきでしょう。

以上、まとめますと、貸す側であれば、延滞金の利率は定めておくべきです。その際、個人向け物件であれば14.6%と上限が決まっていますので、注意しましょう、という内容でした。