【離婚】養育費の終期

1. 養育費はいつまで請求できる?

養育費は子どもが何歳になるまで請求できるのでしょうか。

 

これを「養育費の終期」の問題と言っています。

 

2. 成年年齢引き下げとの関係

2022年4月以降、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴って、調停において、相手方(養育費の請求を受けている親・元配偶者)が、養育費の支払終期を18歳とすべきと主張することが多くなっています。

 

けれども、養育費・婚姻費用算定の基本書である「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」(司法研修所編、法曹会)では、以下のように記載されています(原文通りではありませんのでご了承ください)。

 

民法改正やその施行の前後で社会的実態が変わるわけではないから、今後社会情勢が変化しない限り、子が幼い事案などでは、原則として従前通り満20歳に達する日までとされるべきである。

 

裁判所においても、当初こそ一部の調停員において多少の揺らぎがあったように思われますが、最近は原則20歳までということで運用が統一されてきているように思います。

 

現実問題、高等教育機関(専門学校、短期大学、大学)への進学率は2021年で83.8%と過去最高となっており、高校在籍の途中である満18歳で養育費の支払いを終了するというのが相当でないことは明らかでしょう。

 

もっとも、満20歳まで、というのは子どもの進路がまだ不明の段階での話であって、仮に子どもが高校卒業後に就職することを決定している場合には、基本的には、18歳に達した後最初に到来する3月まで(=高校卒業時)、となります。

 

3. 子どもが高等教育機関に進学する場合

対して、子どもが専門学校や大学などの高等教育機関に進学することを希望している場合はどうでしょうか。

 

この場合、専門学校の場合は、「20歳に達した後最初に到来する3月まで」、大学の場合は、「22歳に達した後最初に到来する3月まで」、というように満20歳を超えて養育費を支払ってもらうことを希望することになりますが、相手方がこの終期に同意していない場合は、それが当然に認められるわけではありません。その場合は、申立人(養育費を請求している親)と相手方(養育費の請求を受けている親)の学歴等を参考に、その子が高等教育機関に進学する蓋然性がどれだけ高いか、などを基準に判断していくこととなります。

 

4. まとめ

以上のように、養育費の終期は、原則として満20歳まで、親の学歴等によっては満22歳に達した後最初の3月までですが、調停は話し合いですので相手方の希望によっては、「満18歳に達した後最初の3月まで」(=高校卒業まで)として、「高等教育機関に進学した場合には満20歳まで」と定めることもあります。

 

代理人を就けずにご自身で調停に対応される場合、上のことをしっかりと理解して主張しないと、相手方の18歳の主張に流されて調停が成立してしまうということがありえますので、十分にご注意ください。

 

 

「【離婚】養育費の終期」への1件の返信

コメントは受け付けていません。