欧州評議会によるAI条約案

現在、欧州評議会においてAI条約案(正式名称は”FRAMEWORK CONVENTION ON ARTIFICIAL INTELLIGENCE, HUMAN RIGHTS, DEMOCRACY AND THE RULE OF LAW”(「人工知能・人権・民主主義・法の支配に関する枠組条約」)) が交渉されています[1]。欧州評議会によるものだから日本には関係ないと思われるかもしれませんが、日本の刑法を改正(コンピュータウイルス作成・提供罪の新設、記録命令付き差押えの新設など)するに至ったサイバー犯罪条約ももともとは欧州評議会の発案によるものでした。したがって、このAI条約案も日本に影響を及ぼす可能性があるものとして注視しておく必要があります。

現時点でのAI条約案は、36条に及び、その目次は下表の通りです。

このうち3章から5章あたりが具体的な規制に関わってくる部分です。現在は、本条約を政府部門に限って適用するか、民間一般にも適用するか、という点などが交渉されています。

AI条約案は、EUのAI Act案、米国のAI大統領令と比べてあまり広くは認知されていないようですが、日本が批准をするに至った場合には日本のAI規制の動向に直接影響を及ぼすものです。したがって、関係者の方々におかれては内容を把握し、今後の動きを注視されることをお勧めします。

ご参考になりましたら幸いです。

[1]条約案などについてはこちら(英語)をご覧ください。