自律型致死兵器システム(LAWS)に関する国連決議

2023年12月23日、自律型致死兵器システム(lethal autonomous weapons system; LAWS)について国連総会で決議が採択されたというニュースがマスコミを賑わせました。LAWSとは、人工知能(AI)を用いて、人の判断を介さずに標的を判断して殺傷する兵器のことです。

同決議は、日米を含む152か国の賛成により採択されたものです(ロシア、ベラルーシ、インド、マリの4か国が反対。中国、北朝鮮、イスラエル、イランなど17か国が棄権。)。

LAWSに関しては、以前から国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の締約国会議や政府専門家会合(GGE)が開かれ、議論が重ねられています(締約国会議は2014年から、GGEは2017年から)。もっとも、CCWやGGEの会議はコンセンサス(全会一致)が要求されているため、最近は膠着状態にあります。そうした中、この決議案が出されました。

同決議は、LAWSに関して、加盟国、国際機関、諸団体の意見をまとめ、次の総会での議題とすることを決めたにすぎませんが、自律型兵器システム(「自律型致死兵器システム」に限定していません。)に国連憲章、国際人道法、国際人権法を含む国際法が適用されることが確認された点では意義があると思います。

この決議に対してロシアが反対し、中国が棄権をしていますが、同決議案への反対(棄権)理由(この段階でCCW GGEと別の議論の場を設けることはふさわしくない(ロシア・中国)、CCW GGEではLAWSについて議論をしているのに同決議案ではLAWSと単なる自律型兵器を混在させている(中国)、との理由)やGGEでのこれまでの議論を踏まえると、両国ともLAWSに国際法が適用されることに反対しているというわけではなさそうです。

とはいえ、今回の決議の内容は上の通りですから、LAWSに関する国際的な枠組みについての国際合意はまだ先のこととなりそうです。

ご参考になりましたら幸いです。