米国NY州弁護士登録で必要なAffidavitと認証証書

[これからNY州弁護士資格を得る方向け]



2年前のこの時期、NY州の弁護士登録に必要となる書類をすべて準備することができ、applicationを提出し、3ヶ月余先の6月に面接(interview)と宣誓(oath)の予定が入りました。

準備する書類は、以下のものだったと思います(正確にはApplication Formに伴う資料をご確認ください)。
– Application Form
– Copy of certification(司法試験に合格したことの証明書)
– Pro bono affidavits(50時間のpro bono活動をしたことの宣誓書)
– ロースクールの卒業証明書(直送)
– 日本の弁護士会の所属等証明書
– 現在と過去の法律関係の職場の上司・同僚からの宣誓書
– Good moral characterであることの宣誓書

ちなみに、Application FormのQ20は、以下のように記載しました。
“Passed the bar exam in Japan in MM/YYYY. Completed the training in the Legal Training and Research Institute of the Supreme Court of Japan and admitted to practice law in Japan on MM/DD/YYYY by Japan Federation of Bar Associations and the Tokyo Bar Association. In Japan, court is not engaged in the admission.”



負担が重かったのは、affidavits(宣誓書)です。Notary publicによる認証が要求されているからです。Notary publicは日本語では「公証人」と訳されていますが、重みが全然違います。日本では、元裁判官か元検察官でなければ就けない地位ですが、米国では、若干の資格要件でとることができ、大きな法律事務所では秘書兼notary publicの人が少なくとも何人かいます。米国のnotary publicは、「この人がこの書類を作成したこと」のみを認証するのに対し、日本では、場合によっては内容の適法性まで確認するからです。

ですから、Pro bonoの証明書など米国現地で作成できるものについては、特段の問題はありませんでした。取引銀行に行けば無料でnotary publicのサインが得られます。

問題は、職場の上司と知人からの宣誓書でした。Good moral characterを証明する宣誓書の作成者は、2年以上知り合っていることが要件だったと記憶しています。私は、米国には留学を開始した時からの知人友人しかいなかったため、日本の友人にお願いすることになりました。ですから、日本にいる事務所の所長と友人2人の合計3人に認証証書を作成してもらう、すなわち、3人に公証役場に行ってもらうことが必要となりました。それぞれお願いしたら快く引き受けてくださり、本当にありがたかったです。今でも感謝しつくせません。私の想定では、お正月休みで帰国した際にお願いして、次に帰国したときに一緒に公証役場に行ってもらうというものでしたが、ありがたいことに、お正月休みの日本滞在期間中に必要な公正証書3通がすべてそろいました。

さて、日本人の同級生との間でも疑問になっていたのが、どの認証証書を作成すべきか、ということでした。日本の公証役場では、このような私人が作成する私署証書の認証について、
– 単にこのような文書に当人が署名したことを確認(認証)するという「私書証書等の認証」
と、
– 当人が公証人の面前で記載内容が真実であることを宣誓した上で署名捺印し、それを公証人が確認(認証)するという「宣誓認証」
とを区別しています。NY州弁護士登録申請用のAffidavitのformには “Subscribed and sworn to or affirmed before me”とあるところ、これが日本における「認証」又は「宣誓認証」とは若干ずれるのです。

前者の場合、認証文言は、
「嘱託人XXは、本公証人の面前で、別添文書に署名した。よって、これを認証する」
というものとなり、後者の場合、
「嘱託人XXは、法定の手続に従って、本公証人の面前で、この証書の記載が真実であることを宣誓した上、これに署名した。よって、これを認証する」
となります。

値段もそれぞれ11500円と17000円(当時)となっており、通数が重なるとその差は軽視できないものとなります。

要するにどちらを選ぶべきかということなのですが、公証人の署名に添付される英文のapostille(公印確認)はいずれの「認証」でも全く同文となっています。とすれば、「宣誓認証」ではなく、通常の「認証」で足ります。実際に、それで作成したaffidavitを2通提出しましたが、問題になりませんでした。



もっとも、厳格な公証役場では、単なる「認証」を選ぶと、英文の「Subscribed and sworn to or affirmed before me」のところを、「signed before me」というスタンプで訂正するところもあります。この場合は、問題になりうると思われます。この訂正をするかしないかは各公証役場の運用のようですので、しない公証役場を選んでいければいいでしょう。霞が関公証役場は、この手続に慣れているようで、非常に迅速に上記訂正もなく「認証」で対処してくれました。

皆様の登録手続がスムーズに進みますように。

(2019年2月に投稿したものですので、その後の変更に対応していない可能性があります。御了承ください。)