1. 養育費はいつから請求できる?
養育費はいつから請求できるのでしょうか。
原則として離婚直後からです。元配偶者と養育費の取決めをしていない場合は、離婚直後から養育費の調停を申し立てることができます。
逆に、離婚直後に請求しなかったからといって請求できなくなるわけではありません。
子どもが自立するまでは(詳しくは「養育費の終期」のコラムをご参照)請求できます。
2. 過去にさかのぼって請求できる?
養育費を過去にさかのぼって請求できるかを「養育費の始期」の問題と言っています。
養育費は離婚後から子どもが自立するまで請求できますが、過去にさかのぼって請求できる未払分は、基本的に、養育費の支払いを受ける権利のある親(権利者)から養育費の支払義務を負う親(義務者)に「請求をした時」からの分に限られます。
従前に養育費支払いの合意がない限り、それまで請求しなかった期間については、過去にさかのぼって請求できるわけではありません。裁判所は、請求するまでは養育費がなくても十分に生活できた、と考えるからです。この「請求をした時」とは、裁判所に調停を申し立てた時だけでなく、内容証明郵便で請求した場合も含まれるとする本もありますが、裁判所によっては一律で申立時からとされることもあります。
ただし、認知された幼児については、始期を出生時にさかのぼることができる、とした審判例もあります(大阪高決平16.5.19)。
3. まとめ
したがって、子どものために養育費が必要ということであれば、なるべく早めに養育費調停の申立てを行うのが得策です。
ときどき、「一度、ご自分で申立てをしてみたが、調停の手続きが思ったよりも大変なので取り下げた」というお話を聞くことがありますが、取り下げると調停申立てをした月からの未払分は請求できなくなってしまうことがあります。その前にぜひご相談いただきたいと思います(なお、過去に養育費調停を取り下げたとしても、あらためて養育費の支払いを求める調停を起こすことは可能です。)。
[…] 養育費は、離婚時に定める必要はないですが、請求した時から認められますので(詳細は「養育費の始期」のブログをご参照ください)、相手方との協議がうまくいかない場合は、早めに調停を申し立てるのが得策です。 […]